工場を探して三千里

工場を探して三千里

アイディアとレシピだけでは、ものづくりは出来ない

レシピの目途が付き、試食会で大きな反響を得て、パッケージ含め商品像がまとまってきました。

絶対良いものになる予感。もうわくわくが止まりません。

でも、それだけではビジネスは成り立ちません。何百、何千という数を生産できてやっとお客様に商品を届けることができるのですから。

次の課題は大量生産。そう、パートナー工場探しです。

弊社は工場を持っていません。

登記している事務所も自宅ですし、持っている固定資産なんて今カタカタ打っているノートPC位のものです。

優良な工場と生産委託先としてのパートナーシップを得る。 これはこの事業立ち上げの難所の一つでもありました。

 

ひたすら電話、とにかく電話、泣きながら電話

工場探しの手法ですが、コンサルあがりの僕としてはクリティカルなイシューをMECEに分析した上でデータドリブンにAIを駆使して重大アジェンダに対してアジャイルにコンセンサスして最速でパートナー工場を見つけたのサ」などとドヤりたいところではあるのですが、現実は非情なり。めちゃくちゃ地味でした。

ネットを叩いて出てきた企業にひたすらに電話をかける。

この作業をとにかく繰り返します。

そして「繰り返す」という言葉が出現するということは、裏を返せば「断られ続けている」ということに他ありません。

生産委託のお断りは、自分のやりたいことを否定され続けているようで、じつは内心じわじわとダメージを受けていました。

断られる理由は主に2つ。

1つ、会社としての信用が現状ゼロだから
2つ、お願いしようとしている工程がややイレギュラーだから

1つ目はなんとなく理解できるし仕方がない。むしろ想定外はその2の方でした。 Nagaraのパッケージは、試食していただいた方の意見を反映して、飲み口の小経化をはじめ、やや特殊な仕様で設計しています。

そのため、一般的な液体充填に使うノズルと口径が合わなかったり、蓋を締める専用の機械が必要だったりとなかなか要件が合いませんでした。 こちらとしてもパートナー探しは死活問題。「ノズルが合わないならこちらが用意する」「キャッピングマシンがなければ弊社から支給する気合いはある」という形で都度交渉を試みますが、結果は振るわず。

工場としての本音としては「標準工程ならまだしも、名も知らぬ実績もない謎の会社の仕事で新しい工程を増やすのは、たとえ費用負担をされても面倒だ」というところだったのでしょう。 いやーその気持ち、正直わかります。

でも、もう少し寄り添ってくれてもいいじゃない。新しい蓋を締める位のチャレンジは、してみても罰は当たらないんじゃないかな。そんな声を心に秘めながら、「残念です。ありがとうございました」と言い続ける日々を送っていました。

 

やっと見つけたパートナー。でも、、、

大体30社位声をかけ、ひたすらに断られ続けましたが、希望の光が1社現れました。福島にある食品工場で、過去にいくつもスープ製品やポタージュを作っているという会社です。

「口径も問題ないし、キャッピングマシンならウチで似たようなものを締めているからたぶん製造できますよ」その言葉を聞いた時には、Zoomの先の工場長のおじさまを抱きしめてあげたい気持ちでした。

 

とにもかくにも、これで生産パートナーの目途が立ちました。

決まった時は「これで安泰だ。無事良い商品を作れそうだ」という気持ちでいっぱいでしたが、そんな楽観的な未来はまたまた粉々に砕かれることになるのですが、それは次回に譲りましょう。

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