はじめての試食会

はじめての試食会

本当にこの商品は売れるのだろうか?

味についての心強い協力者を得たプロジェクトNagara。そこからとてつもない勢いで開発が進み試作品が完成します。

じゃーん。最初につくったハンディスープの試作品です。
流石シェフの腕、上がってきたサンプルの味は上々。どれもがとっても美味しくて、「いい製品になりそう」という予感とわくわくが高まっていきました。

でもちょっと待ってください。このプロジェクトのゴールは「多くの人に選ばれて、手に取ってもらうこと」です。当然ながら、僕一人が美味しいと思うだけでは足りません。

コンセプトに関して、自分は欲しいと思う。けど多くの人が共感してくれるのだろうか。
味に関して、自分は美味しいと感じる。けれど、他の人も同じ感想をもってくれるのだろうか。

最後に信じるべきは自分の直感ですが、まだまだ歩き始めたばかり。俯瞰して地図を見るのも重要なはず。そんな気持ちでユーザーテストの実施を考えました。
 

 「はじめまして、僕の事業に協力してください」

Nagaraを好きになってくれそうな人を集めて、味見をしてもらい、意見を聞く。やるべきことは、とってもシンプルなユーザーインタビューです。

僕自身この手の調査は経験もあるし、ノウハウも持っている。
そんな中、ただ一つ問題がありました。人集めです。

知人・友人にも声をかけてみるものの、限界はあるし、交流の深い友人による意見はややバイアスがかかってしまうリスクも存在します。
頭を悩ませた上で思いついたのが、SNS経由の人集めでした。

幸い、アカウントから事業のことは発信しており、当時600名ほどのフォロワーがいました。その中から、意見を欲しいと思う方々をピックアップして、DMをお送りし、試食会にお誘いします。

声も聞いたことのない見知らぬ男から突然DMが送られてくる。こんなの開いて2秒でそっと閉じて無視すべき案件です。お送りした僕自身も、「返事は半分も来ないだろうな」という気持ちで送っていました。

ところがどうでしょう。驚くべきことに、8割以上の方々が快くOKをくれたのです。
そして、多くの皆さまが、声をかける前からTwitterやnoteを読みNagaraに興味を持っていただいてくれていたのです。
その事実が本当に嬉しかったと同時に、みなさまの応援や期待への責任をずしりと感じたことを覚えています。
 

みなさまと一緒に一歩一歩進んできました

試食会を中心に、SNSでつながった方々の中には、今現在もやり取りをさせていただいている方も少なくありません。

試食会の他にも、コンセプト、メッセージ、パッケージの改善点等たくさんの事を相談して、たくさんのご意見やご感想をいただきました。
冗談抜きに、彼ら彼女たちがいなかったらNagaraのクオリティは今よりもっと落ちていたはず。こちらの勝手ではございますが、みなさまはNagara開発メンバーの一員だと思っています。

そして、間接的につながりを生むことになったnoteやTweetを一生懸命発信し続けた自分をしっかりと褒めてあげようと思います。
何事もコツコツやってみるものですね。笑
Twitterやっててよかった。

 

試食会の結果は?

さて、SNSや知人経由で人を必死で集めて実施した試食会。四の五の言わずに結論を述べましょう。

「コンセプトと味の評価は抜群に良い。ビジネス可能性、大いにアリ」です。

今回の試食会は、プレゼンによるコンセプト共有と、手作り試作品の実食をもとに、みなさまの感想を伺うというものでした。

 

コンセプトのプレゼン

プレゼンテーションの結果はとても良好。しっかりと共感を生み出せると感じました。
「仕事が忙しすぎて、ご飯で妥協していること、多くないですか?」
「忙しい時も、手間なくすぐに食べられる美味しい食べ物、欲しくないですか?」
この問いかけをした時、みなさまの頭がしっかりと上下に揺れるのが見えました。
いいプレゼン内容はうなずきを生みます。
コンサル業をやっていた時、プロジェクトがしっかりと前に進んだ会議は決まってキーマンの深いうなずきを伴っていました。
今回のお話でも、同様の手ごたえを確かに感じました。

サンプル試作品、実食

画像
※試食セット。当時スコーンバーも検討中でした

 

そして一番重要な味の評価です。
こちらは、想像以上に高い評価を得ることが出来ました。
みなさまがスープを口にした瞬間の表情、思わず漏れる「うん!」という声、食べた後の会話の熱量、どれをとっても味の品質を裏付けるには十分でした。

アンケート結果も大事ですが、この製品で一番重要視すべきは「驚きの体験(≒Wow)を与えられるかどうか」です。期待を大きく超える驚きの味を届けられ無ければ、広告費を捻出するのが難しい零細食品D2Cがスケールすることはできません。

そしてその判定は定量的なものよりむしろ、体験した人の表情や熱量等の定性的な反応を感じ取ることこそをよく観察するべきだと考えています。

スープを味わった時のみなさんの顔が本当に良い顔をしていた。
その事実だけでも、事業として十分勝ち目があると確信出来ました。

とはいえ定性面の話だけをしていると、僕の妄想だととらえられかねないので、定量的なアンケート結果も共有します。味によって凸凹はありますが、10点満点中満点が66%という驚異的な結果をたたき出したお味もありました。

 

 ユーザーの市販のスープへの意識

試食会の中で、興味深いコメントがありました。
「市販のスープの限界を超えている」「コンビニで買えるレベルとは段違い」といったものです。

レトルトスープ、粉末スープ、缶入りスープ等、現在多くのスープ製品をコンビニやスーパー等で手に入れることができます。しかしながら、そのどれもがユーザーにとって「美味しいもの」として認識されていないようなのです。

確かに、僕もマーケット調査としてたくさんスープ製品を食べてみましたが、味として物足りないものがほとんどでした。逆に言えば「美味しさ」が何よりも大きな差別化につながる可能性が高く、さらに味の研鑽を積む余地があることを感じた一日でした。

 

こうして、プロジェクトNagara可能性が確認できました。

「あとは良い商品を作るだけ、もう勝ったも同然」そんな楽観的な気持ちを正直持ってしまった部分はあります。

でもそんなにうまく行かないのが現実の商売というもの。

次回以降は商品開発の壁について語ろうと思います。

 

ではまた。

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